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全文

(1)

ア コ ヤ ガ イ 貝殼 及 び養 殖 眞 珠 の眞 珠 層 蛋 白 質 構 成 ア ミ ノ酸 に つ い て

保 田 正 人 ・ 土 屋 穰 ・上 田 泰 司

Amino Acid Components in Pearl-layer Proteins of Shell and Cultured Pearl of Pteria martensii DUNKER (Pearl Oyster)

Masato YASUDA, Minoru TSUCHIYA and Taisi UEDA

緒 言

著者等の一人は先に貝殻中に含有される

C o n c h o l i n

が貝の種類によってそのアミノ酸構成を異にし,特 徴のある差の存在する事を報告した1)が,同一種における貝殻真珠層の各部位並に同組成と考えられる真珠 については如何なる関係が存在するかをみる為, アコヤガイ及び同養殖真珠について比較を行つ?こ叉併せ て試料調製時の脱灰条件をも検討し,一二の知見を得たので報告する.

実 験 の 部

1 .  

試料並に実験方法

貝殻は真珠層のみを第

1

図の如く分け,第

2

図の精製法で得られる不溶物を

Concholin

とみなして試料

1

とした.各部分の色調は腹撮部の黒紫及ひ賀泥色を除き何れもピンク乃至

て ー τ

一 一 て 寸 銀白色である,精製時の脱灰は従来の条件

K

疑点、がある為検行い,その最適

条件討をによった.

2

図 試 料 精 製 法 真珠はピンク(光

沢良〉銀自 C "

L

貝殻

良〉鉛

C

f!

L

良〉鉛 !

グライングー研磨〈湿潤下〉

泥 ケ 鈍 〉 紫 鉛 C "

真珠)書 殻皮層

~)の 5 色調に便宜

│ 

肢 砕 稜柱層

l

乙分け,脱灰後表 く除去〉

面真珠層のみを集め 脱原(10% ・ HCl ・ 80~100 倍量, 5 日浸漬 精製を行った

A:

閑殻筋痕 不溶物 溶液

乙れ等の試料は

6

B:

中央部 │水洗,

HCl

除去

C:

腹縁部内側

N‑HCl ・ 1 0 0

倍量を !水と煮沸

D:

腹縁部 加え封管中

4 8

時間水

不溶物 溶液

解後 p 通気蒸発~).及び

NH 3

気流中和によって

HCl

│ 

│エーテル浸漬 除 去 , 一 定 量 に 稀 釈 し て 水 解 試 料 と し た , ‑ ‑

アミノ酸の検索は

PPC

二 次 元 法 糊

:PhOH ー

不 閥

H 2 0  ( 4 :  

1] 

BuOH‑HAc‑ 弘 0(4:1:

1]はり,同

170%EOH

浸漬 定は純物添加法で行い,

Rf‑

値は小型績紙では比較的

不溶物 溶液

恒常性が得られぬ為参考に止めた

│二己【テル洗鯨 定量は著者の一人が考案した

PPC

による湿熱発色 │乾燥 j告ヨ〉りによって行った.

I~ * 4

2 .  

脱灰操作の検索

Concholin

を対照とする場合,貝載中含有量が僅少な為,貝設としては極く少量と思われる残存灰分も試料 に対してはかなりの量となり著しい誤差を生ずる恐れがある.然るに従来の脱灰条件iこはかなりの差がみられ

(2)

122

叉残存灰分量もほとんど検討されていない.従ってそれ等の試料の純度に疑点が持たれるので検討をつ行た.

 試料は申央部真珠層の約5mm角破砕物(灰分97.2%,有機物2.8%,全N O.49%)を用いた.灰分は

   10

・i不溶解胸㈱

 第3図HCI浸漬による不溶解物量比

3・

jN:\ 彗1

     、

       ℃、

     、      、、

     、      、、

       へも       ヘカ

    \も_ニ

      へめ  

0    1       3       5       愛漬区数→

 A:5%HCI・10倍量(一 25%)

 B=5%HCI・25倍量(+ 80%)

 C:10%HCI・・10倍量(+ 60%)

 :D:10%HC1・25倍量(+290%)

 E:10%HC1・80倍量(÷1070%)

 ()申は含有灰分量よりみたHC1の平均過不足  比率を示す

:第4図HCI浸漬による試料灰分重重溶解残重量比

茨10

(%,)

       浸清国数一

      線の区分は第3図による

:第5図 HCI浸漬による不溶解物の灰分含有量比

 100

i80

sc

 菊   2σ

→次分魯量燭 あ     ト

\\\ 〜v\\ \\︐

1       3   浸演El数→

線の区分は第3図による

5

Fu RTH 4), HARLEY,桜井等5)の研究より推測し

総てCaCO3とみなし得る.

 脱灰操作は骨組織について種々の方法が検:討さ れているりが,最も一般的な稀塩酸処理法によう

た.ag 3』・4・5 図に示す如く浸漬日数に伴って

著減するも,初期の脱灰が著しい.塩酸が必要量よ り著しく過剰な場合でも5日以内では恒常笹は得 られなかった.10%HCI・80倍量では5日で貝殻 中の99.8%が脱灰され,ほぼ完全脱灰と認められ る毒或に達するも,不溶解物含有量としては尚10%

弱を示す.他の条件においては40%以上となり.

著しく不純な試料である事を知った.従って従来 の試料はその条件よりみて相当量の灰分含有が想 像される.

 本法ではこれ以上の高度脱灰が期待出来ぬ為,

一応10%HC1・80〜100量:5日浸漬によって得ら れる不溶解物を精製して試料とし,灰分による影 響は補正によって除去した.

    3..構成アミノ酸の検索

 展開試料は原稿溶解物質85ッ相当液量(約10〜

25μ1)を用いた場合,分離が良好であった.

 一般にAspartic acid, Glutamic acid, Gly・一 cine, Threonine, Serine, Valine, Leucine

(lsoleucine), Cystine, Methionine, Tyro一一 sine, Phenylalanine, Arginine, Lysine,

Proline, Taurihe(以下デミノ酸は略号eeで示 す)の17種を認めた.ただしLeu, Ileuは分離 不能の為両者の何れかの存否は確認出来ない.こ れ等の中貝殻では閉血筋痕のCyS, Pro,中央部 のMet, Tyr,腹縁部内側のTyrが,叉真珠で はピンクのCyS, Tyr, Pro,銀白のTyr Pro,

鉛泥及び立憲のCySがこの展開量では呈色斑出 現心界濃度近辺にあるらしく存否の判定が困難な 噛状態であったン叉紫鉛色でほ Tau が認められ ない.叉既知物質と同定出来ない呈色斑も若干出 現したが恒常性が充分認められなかった.恐らく これ等は不完全水解によるべプチードあるいはア ミノ酸分解生成物であってアミノ酸とは考え難

い.

 以上の結果より構成アミノ酸の種類はかなり多 く嚢油層の部位等による差はほとんど認められな かった.叉この濃度による検出不能のものが存在 ee蛋白質化学,1(凡例)参照7)

(3)

するとしても,本法による最小検出量r)より推定してその含量は0・5%以下のものであり・叉量的に考慮すべ き特殊なアミノ酸の存在も考えられない.

    4.構成ア£ノ酸量

 定量法の概要:は第6図の如くである.Leu,11euは併せて定量し, Pro, Lys, Tauの3種は測定値分散

が著大となる為除外した.

      第6図PPCによるアミノ酸定量法

    灘:潮齢灘墾回幽,__

     1H…処理・cy…M・・趨時のみ

    展開(一次元):80%PhOH:,.18。C,以下a, b両濾紙共同一容器中で同時旧作      1

    乾燥     :70〜75。C,40〜60min      1

    次元展開      1

    展開(二次元):BuOH一:HAc−H20〔4:1:1〕,180C     s£lxrk   :70一一7soc, 40一一60min

     1

    ニンヒドリン噴霧:1%BuOH So1.

     1

    水雲回気淋繍:750C・7m n}45。26。40。血容器中で     ニンヒドリン再噴霧     卜

      )O.5m1のH20叉は0.5%NH40Hを蒸発      1

    アンモニア気流申加熟:750C,8min      I

    抽出:呈色部を3m1のBuOH(H20 satu.)で抽出,60〜120mi11

    幽・フ棚一568m・,測定E値{論義

    舗聾出・X−m{(L−S)一瓢i養一S}

      (X:展開試料中のアミノ酸含有量〔γ〕)

      第1表 Concholin構成アミノ酸量(%)

アミノ酸 試料

三曲撤回舳制蝋q四魂恥顕蜘㎝血

total

GlyfAla

貝 殻 真 珠 層 全 殻

23.4

14.2 6.2 4.6 4.4 5.O O.8 1.0 3.8 2.0 4.4 4.0 4.8 5.6

閉殻筋痕

21 6006002602246805654330112143

中央部

24.8

20.6 5.6 4.2 3.8 3.8 0.8 0.8 1.6 1.8

 士

3.0 4.0 4.4

腹縁部 内 側

74.6

1.6 72.2

1.3

渇20ゐ2︒2溶﹄3﹄士潟23

7564420112 346 りムー

ア9・2レ9・8

1.2

@1 1.8 腹縁部2

6468024228068835964701714454

86.4

4.4

ピン

h銀白色

26・引

iz・8 1 6.4 i 4.4 1

  1

3.6 4.4 1.2 0.6 1・

2.s1

3.6 l O.8 !

3.2 1 6.4 1 6.6 1

β42 ︒222浴﹄﹄﹄士る溶3

4655331122 375 21

鉛 色22880828806028

73644210131254 21

83・2181・6レ9・2

,.i1

1.sl 2.1 鉛泥色

23.6 12.4 6.0 5.2 3.8 4.4 1.6 0.6 0.8 0.8 3.2 1.6 6.0 4.6

74.6

紫鉛色

24.0 3.6 8.4・

6.0層

3.0 8.Oi 1.2.

O.8・

2.8・

O.6

6.4

1.6 5.6 4.8

76.8

,1・71 6.7

(4)

124

 それ等の平均含量はee 1表の如くで,合計量は70〜80%程度であり,残部は定量除外のもの及び水解途次 のアミノ酸分解による誤差と考える.

 各部位による量的差は若干認められるが,全般的にはGly, Alaが圧倒的に多く,叉含Sアミノ酸も少く Albuminoid特有の傾向を示している.又貝殻を異にする場合同部位の試料はほぼ類似した構成でありそ の差は部位間の相違に比較すると塵土の如くである.

 各試料間の差を検討する為第7図の如く含有量を三瀬三角形による面穫比をもつて表示しその形態より比 較すると全般的には種を異にする貝上相2問の場合の如き顕著な差1)は認められず大体類似したものである

が,他のAlbuminoidに属するもの9)とはかなり異っている.然し各試料間には若干特徴的な差が現われて

・いる.即ち貝殻では腹縁都のみかなり異るが,特にAlaが少くVa1, Argの多い点が著差となっている.他

・の3部分は比較的類似するもこの中閉殻筋痕はMetが著しく多い.全殻は表示形態よりみてもζの4種の混 合物である事が良く示されている.真珠ではピンクと銀白及び鉛と鉛泥は互に類似するも後2者では鉛色に Hisが多くTyrが少い.この2群を比較すると前群ではGlu, Argが多く貝殻の中央部及び腹縁部内側 に比較的穎似するのに対し,後者の群ではMetを除き閉殻筋痕部と良く類似する.紫鉛色は他と著しく異り

一.ハにLeu, Va1, Tyrが多くAlaが少いが.腹縁部とはAsp, Arg以外はかなり近似している.

 先に不等筋目に属する貝殻の殻皮及び稜柱層を含む丁丁のConcholin組成中Gly/AlaカS 2:1を示す 事が他の種目に比較し特敏である事を指摘した1)が,本実験の結果真珠層のみについては腹縁部の4.4:1を

.除くと他の部位では2以下となっており,従って真珠層ではこの様な比率が種目間の特徴となり得るか否か

       第7図Concholin構成アミノ酸の比較

ぎ5こや力∫い)

全殻

1

冬il鬼

一  0  2

0 1

o

20

m/︐/h

〔眞殊〕

ビ。ンク色(光沢良) fO

0

3

トf卜II﹂ーー﹂iI﹂一

1﹁1﹂﹁一﹂■1一弓1−4ーー﹂﹁1

2DO

離漿1

腹縁部内側

ゆ〉へ、

o

20

1 1,, Ali

oi

前震蛋白〕

0

1

腹麗β

ヰ」一〇

E峨era土しn

銀白色をやや良)

20  10

o

鉛色θやや良) 10

   1

P/2DO⊥9 CGし1昭e箕

︒        一

儲泥色(多鈍)

20

 ズ回

臥astしれ

o 1

1 , 、 l I , 1 ・ 、

紫鉛色(5鈍) 10

  ほ の コ ロ     ロ   ロ コ   ロ コ

1234567891α1121314   1:Gly  2:Ala   8:Cys  g:Arg

  ロ コ   ロ ロ   ド ユ ロ ロ ロ   ロ ロ

  42345678910寄1−121314 3::Leu   4:Phe   5:Ser 10:His  11:Tyr  12:Asp

﹂一﹂﹈⊥

四 

1 2 34 56789 1011 12 13 14一

   ←アミノ酸→

6 : Val 7 : Met

13:Glu 14:Thr

(5)

慰疑問である.

    5.N, S含有量及びHistidi:n, A tginin含有mo9比

 Concholinは分類上AlbUminoidの一種と考えられる.Albuminoidは特殊蛋白質として成分的に特徴 のある数薩を示すがその一・二についてみると第2表の如くである.

        第2表 ConcholinのN, S含有量及びHis, Argの含有mo1比

殼痕部側部

筋内

  央部縁

殻縁

全閉中腹腹 モくサ貝殼真珠層 色色色色色

 白 泥鉛

真  珠

ピ銀鉛銀紫

交の

?」

驚の儲贈

  ( Elastin

N(O/o)

17.02 15.82

16.58 16.60 16.80

16.62

16.36 16.50 16.68 16.42

s (%)

五τ=﹂701 4什∩◎り04﹂什

∩U1000 21自∪0ρ0

4−RJ4に﹂4

∩UOOOO

16.66 15.40 15,29

18.7 18.6 16.6

  O.61

] O.75

o O.3G

trace

Arg/His

(mol比)

1.70 0.74 0.79 0.80 3.57

∩コ∩﹂つσ8QU

貧U8に﹂OQ−∩UOOOバ什

3.00

1.27

N量は他の類似蛋白質に比較するとやN低く,16〜17%で比較的良く一致している.

S量:は閉讃筋痕が異例的に高い以外は何れも0.4〜0.5%と一致し,Euk:eratin(3〜5%)よりむしろ 第8図 HC1浸漬による試料中有機物の溶出量比

?o

→ぢ

0

.」

 7歪/

/.6/

虻        一_一    一  ρσ一

  一      _一一一e−9

 り      ロ

    ロ        り

/ . ノ==:=:二:含

       ・一。一。一C

       一・一・一D        一一・一・・一E

一一一一_一_一一」印一_噸

ノー・rラ;茸1:

 o一一T一一一r rt s

       浸漬懸数一→

A:5%HC1・10倍量 B:5%HC1・25倍量 C:10%HCI・10倍量 D=10%HCI・25倍量

E:10%HCI・80倍:量:

   第9図HC1浸漬による溶出N:量比

2

0

10

0

滑ヅ〃

7 e

     ス      ユ 

4髪i………i≡≡≡≡≡;ii≡

ε/

Pseudo:keratin(1〜3%)に近似する.

 Arg/:LyS/:Hisについては, LyS含量不明の為 Arg/Hisを比較すると腹縁部及び紫鉛色真珠の4

:1.以外は>1:1でこの点でもEukeratin(12=

1:DよりはPseudokeratin(十=1:Dに

近い.

    6. 可溶性含N物質について

 Concholinは酸抵抗が大と考えられる為脱灰操 作中の溶出は常識的にはあまり考えられないが,浸 出雪中にかなりの有機物を認め,かつConcholin自 体特異的なものらしい事が判明したので溶出有機物 第10図 H:C1浸漬による溶出有機物のN含有比率

1 .. h 3

  浸墳国数→

線の区分は第8図による

5

    1一一一 iJi: h Ct 一一一SZHCD てQ倍量         25倍量1        80{著量

 ♂

︐p

17

→N/

//

//

『 

1   3  ・5

(6)

ア コヤガ イ 貝 殻 の 各部 位 及 び真 珠 につ い て,そ れ 等 の 真 珠 層蛋 白質(Concholin)の ア ミ ノ酸 構 成 を検 討 した.

1.真 珠 層 に 含有 され るConcholinは 部位 に よつ て そ の 組 成 を異 に し,同 一貝 殻 に おい て も単 一 体 で は な く,Albuminoidに 属す る もの の うちで も特殊 な類 似 蛋 白質群 と考 え られ る.

2.Concholin構 成 ア ミノ酸 の 種 類 は17種 が 認 め られ,一 般 蛋 白質 と大 差 な く特 殊 な もの は存 在 しない.

然 し量 的 に はか な り特 徴 が あ り腹縁 部 は他 の 部 位 とか な り,組成 を異 に して い る.又 真 珠 にお い て も 一致 した もの で は な く,貝 殻 の各 部 位 に類 似 した構 成 の もの の 存 在が 認 め られ た.

3.Concholinの ア ミノ酸構 成 と真 珠 の色 調 との間 に は関 連 性 は 存在 しない と思 わ れ る.光 沢 との関 係 は 確 認 出来 ない.

4.脱 灰 操 作 中全Nに 対 す る相 当量 のN化 合 物 が 溶 出 す るが,そ の 中 に は蛋 白質 に 由 来 す る ものが 存 在 す る ら し く試 料 調 製 上更 に検 討 を要 す る.

又 併 せ て 稀 塩酸 に よ る脱 灰 条 件 を検 討 したが,何 れ の条 件 に よつ て も定 量 用 試 料 と して は不 溶 解 物 中 の灰 分

1 2 6  

及 ぴ 、 N について量的変動を測定し,第 8 , 9 図の結果を得?こ.即ち貝殻重量に対する溶出量は 1% 以下で差

程問題にはならぬが,~有機物及び全N量に対しては 3~5 日で何れも 20%内外に達する.叉溶出有機物の

含N比率の変動傾向は第 1 0 図の如く浸漬日数に伴って増加し,溶出時期による溶出物に内容差のある事を示 している.即ち初期には比較的低含N物が量的に多く,後には N量の多い物質が微量ながら溶出をつづける もので,蛋白性物質が溶出する事も推察される.

考 察 並 に 結 論

Concholin を実験試料とする場合,脱灰操作は従来比較的等閑視されていたが,不溶解物質中には不用意

な操作によって 30~40%の灰分が残存し,この様なものは定量用試料としては不適当なものである.叉条件

によっては査有残物及び全Nの20% が溶出されたが,溶出物中に Concholinの一部より派生する N 化合物 を含むとすれば一考を要する問題である.即ち従来は酸抵抗の大なる物質と考えられているが,それ等の実 験基礎となる試料の調製法自体に疑点があり,叉一般の Albuminoid とはかなり異ったものらしい事より 更に詳細な検討を必要とするものと思われる.従って稀塩酸による脱灰は貝殻の破砕程度,浸漬温度等によ る状況の変動も考えられるが,一般的にみて灰分と反応する塩酸理論量の 1 0 倍以上を用い,かなり長日時浸 潰し,更に不溶解物の灰分量を測定して補Eを必要とする.叉浸漬液濃度も Concholin K 対する作用等を 考慮すると使用した 10% のものが適当であるか否かは疑問である.

アコヤガイ真珠層及び真珠の Concholin を構成するアミノ酸の種類は蛋白質構成アミノ酸の大部を含み,

特殊なものの存在は認め得なかった.含有量よりみると Albuminoid の特性が認められる.真珠層の部位 によっても若干差の認められた事は Concholin が単一体ではない事を示している.乙の原因が特異な生理 的意義をもっ数種の異種蛋白質の含有量を異にする混在によるものか,或は真珠層生成過程による時間的ず れに伴う組成の若干具る蛋白質の形成に由来するものであるかは不明であるが,貝殻を異にしても同一昔 l 位に おいては相互間の差の程度がその部位の特徴を失わぬ程度のものである事よりみて,部位による生理的意義の 存在が想像される.叉殻皮,稜柱層を含む査殻構成の Ala と Glyとの聞の含有比に認められた貝類種目の特 徴が真珠層のみでは成立するか否か現在のと乙ろ判明しないが,腹縁部を除く他の部位ではほぼ一定してい、

る事は興味ある事と思われる.

Concho 1 i n が真珠色沢発現に対し理物的な面以外にも何等かの佼割を演ずるものと考える者も少くない が,アミノ酸構成面よりみて本実験の程度ではその関連性については向判然としない.然し色相とは類似構一 成の場合にも全く異った色調のものが見出される事よりみて,ほとんど関連性はないと思われる.

Concholinは従来 Spongin , Gorgonin 等と共に特珠の Albuminoidであり Eukeratin類似物質と 考えられているが,アミノ酸構成において顕著な差があれ叉 N, S 含有量及び Arg , His 比でもむしろ P s e ‑ udokeratin  に類似するものである事を認めた.然L 理化学的な性質には Eukeratin的な傾向あみられる 事よりかなり特徴的な一群の蛋白質と想像される.

要 約

(7)

が多 い為 補 正 を必 要 とす る.

終 りに臨 み 試 料 真 珠 の 分譲 をい た だ い た本 学部 立 石 新 吉 教 授 に謝 意 を表 す る.

文 献

1  )  保田,中島:活水論文集, 2 , 3 2   ( 1 9 5 3 )   2 )   福井,保田:栄養食糧, 6 , 1 2   ( 1 9 5 3 )  

3 )   保田,福井:第 6 回栄養食糧学会総会口演 ( 1 9 5 2 ) 4 )   大谷,富士川:軟体動物の化学, 1 2 3   ( 1 9 3 4 )

厚生閣

5 )   小串:真珠の研究, 1 4 3   ( 1 9 3 4 ) 文信堂

6  )  市川い細胞化学, 2 2  ( 1 9 5 3 ) 本田書房

7 )   赤沼等:蛋白質化学, 1 

(1

9 5 4 ) 共立出版

8 )   保田,土屋:長崎大学水産学部研究報告, 5 ,  1 2 8   ( 1 9 5 7 )  

‑ . 9 )   赤堀等:蛋白質化学, 2 ,  1 2 8   ( 1 9 5 4 )   共立出版

参照

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